持続化のためにコンテンツを作る
1. コンテンツを脳に例える
コンテンツは、事業の中で最も重要な要素です。経営では血液をお金に例え、心臓は全身に血液というお金を送る装置とし、とても重要な臓器だと伝えられてきました。確かに心臓は人の身体では最も重要です。
しかし、心臓と同等か、或いはそれ以上に重要なものが脳です。脳は身体全体に指令を送ります。脳こそ、その人がその人である想いや考え、そして行動を具現化する司令塔なのです。血液をお金に例えるなら、脳が全身をコントロールする電気信号はコンテンツに例えられます。
内に対し、外に対しても、想いや考えを表してこそ伝わるのであって、この電気信号がなければ、何も伝わりません。つまりコンテンツを持たない事業体は意思や目的のない集団でしかありません。
2. 情報とコンテンツ
どの企業、どの事業体でもコンテンツはある。と思う方は多いでしょう。それは情報と混同しています。情報は事業を行う上で、何処でも必要なリソースです。上司が部下に指示を出す際、営業担当者が見込み客に自社製品やサービスを説明する場合、または、経営者や顧問税理士が税務署に自社の財務内容を説明する場合、データや図表・統計それに動画を用いて、納得が得られるように説明します。これらが情報です。情報自体は一過性のものが大半で断片的です。ニュース記事に含まれる出来事のように、事実や数字、観察結果などが情報です。情報は単独でも存在し、それ自体が特定の意味や知識を提供します。
一方、コンテンツは一過性や断片的、単独的ではありません。継続性があるうえ、体系的でコラボ的です。さらにメッセージ性に加え文学的要素や美術的要素なども加わります。こういった事から、コンテンツには価値が生まれるのです。
分かりやすい例を挙げれば、写真一枚一枚は情報です。しかし、その写真を集めて動画にすれば映画というコンテンツになります。この動画は、芸術性の高い作品であれば継続して視聴されます。また、動画に込められたメッセージ性が強ければ説得力が高まります。写真一枚一枚では、体系化は難しいのですが、ドキュメンタリー映画や記録映画は体系的にまとめざるを得なくなり、理解しやすくなります。理解しやすくなった作品は、観客からの賛同も得られるでしょう。
そして、ここまで芸術作品として高められ、体系化された動画は、コラボされることでブラッシュアップされます。つまり外部の専門スタッフや一般の人達の意見や意思が加わることで、品質はさらに高まって良質なIP資産に生まれ変わるのです。これがコンテンツです。
デジタルパンフレット
このように、情報とコンテンツは違うのです。多くの企業は自社製品やサービスに関しては良く関心を持ち、微細な事項や対外的な評価に一喜一憂されるのではないでしょうか。もちろん、これ自体は非常に重要なポイントで、こういった感情は、サービスや製品を高品質にまでに高める起爆剤となり得ます。
さて、しかしです。このような起爆剤としての一喜一憂の感情は、サービスや製品の完成を経て、すっかり消えて無くなってしまうのではないでしょうか。これだ!と思って閃いて、興奮して寝る事も出来ず、夜中だろうが早朝だろうが関係無く、仕事に情熱を注いだ瞬間。或いは逆に、すごく悩んで落ち込み、凹んだりしたときもあるでしょう。その時の激しい感情です。
ここで申し上げたい事は、その時の感情を消してしまってはならないという事です。忘れ去ってはなりません。想いや感情を記録して頂きたいのです。残して頂きたいのです。もし、この想いや情熱と閃き、その反対の挫折感や苦しさ、そういった感情を綴った冊子若しくはデジタルBOOK、デジタルパンフレットとも言われますが、こういったものが傍らにある製品やサービスとそうではない商品とのポテンシャルの差は、けた違いに大きくなります。
具体例
味の素株式会社の「コクうま」という商品の開発秘話をマンガで公開したところ、6000件もの感想が寄せられ、商品のブランディング強化と新規顧客への訴えに大きく貢献したという報告ありますhttps://www.ajinomoto.co.jp/pureselect/products/kokuuma/history.html。
また、株式会社ヒロセの事例では、会社の歴史や理念を描いたマンガ冊子が大好評を博し、初版5000部が3ヶ月で完売しました。ブランド力向上だけでなく、リクルーティングにも貢献したとされています。
製品の誕生や開発経緯を記した小冊子がある製品とそうでない製品の販売力には、このように大きな差があると考えられます。それでは、なぜ、このような差が生じるのか以下にその理由と効果を記します。
- ブランドストーリーの構築 開発秘話や苦労話を共有することで、製品に物語性が生まれます。これにより、顧客の感情的な共感を得やすくなり、ブランドへの愛着が湧いてきます。
- 製品の差別化 開発経緯を知ることで、その製品の独自性や特徴がより明確になり、絶対的な差別化が図れます。
- 信頼性の向上 開発プロセスや苦労した点を公開することで、企業の取り組みや製品へのこだわりが伝わります。
- 顧客とのつながりの強化 製品の背景を知ることで、顧客は単なる消費者の存在以上になります。製品への理解があり、より強い愛着が生まれる可能性があります。
- 口コミ効果の拡大 引き続き開発秘話は、顧客間で話題になりやすく、自然な口コミ効果が期待できます。これにより、新規顧客の獲得につながる可能性が見えてきます。
これらの事例から、製品の開発経緯を共有することで、販売力に大きな差が生まれる可能性が高いと言えます。ちなみに、具体的な数値での比較は、製品や業界によっても効果の度合いとは異なる可能性があります。しかし、適切に考えれば、販売力の向上に大きく貢献できます。
生活者が不便な思いをしているところから、その解決方法を提案した製品やサービスを商品として提供することが販売の基本です。これがマーケティングと呼ばれています。マーケティングとは、商品やサービスを効果的に顧客に届けるための戦略や活動の総称です。
具体的には、市場のニーズを把握し、それに応じた商品やサービスを開発し、適切な価格設定、効果的なプロモーション、流通方法を考えることが含まれます。最終的な目標は、顧客との関係を築き、企業の利益を最大化しつつ、顧客に満足を提供することです。つまり、マーケティングは、単なる「売るための活動」ではなく、顧客が求める価値を提供し、信頼関係を築きながら長期的な関係を育むことを目的としています。
3.マーケティングとコンテンツ
マーケティングとコンテンツの関係は、よく店舗と料理の関係に例えられます。店舗の運営がマーケティングで、その店で出される料理がコンテンツという例えです。和食を食べたくなったら和食の店でカツどんを食べ、中華を食べたくなったら中華料理店に行って炒飯を食べる。というような事でしょう。
いづれの店でも出される料理には、品質(美味しい)と多彩なメニュー(品ぞろい)、そしてコースを注文した顧客には正しい順序や方法で出されます。コンテンツも同様です。品質が高く魅力ある記事とテキストや動画或いはアニメなど多彩で多用な提供方法と、そして正しい順序と適切なタイミングで顧客に届けられます。
一方、店舗がマーケティングと例えられるのは、店舗が客を呼び込むように、マーケティングも顧客を引き寄せるからです。店舗の雰囲気づくりのように、マーケティングは顧客との全体的な関係を管理し、そしてブランドを形成します。
料理の評判が店舗のブランドを形づくるように、コンテンツの質はブランドイメージに直結します。従って、マーケティングとコンテンツの関係は、考えている以上に重要で、切っても切っても切り離せないというのが、結論です。
4.デジタル社会はコンテンツ
これまで、説明させて戴いた全てはコンテンツの事です。冒頭で「商品やサービスに、開発者・製作者の想いを記したコンテンツを併せ供える事で、そうでないサービスや商品とのポテンシャルの差は、けた違いに大きくなります。」とお伝えしました。ここで「販売力の差」ではなく「ポテンシャルの差」としたのには意味があります。
これが意味するところは、このコンテンツを利用し活用する事で、別の次元に移動することも可能になります。無限の可能性が秘めているのです。もし、今、既存事業が行き詰まり、将来に不安を覚えていらっしゃるならば、あたらな事業可能性として、このコンテンツを利用した事業をご検討して下さい。
長期的な関係を育むことは、顧客とのコミュニケーションの事です。当方の想いや意思、それに現況などを伝えるためにはホームページやSNSで情報を発信する必要性が生じます。しかし、見る側としては、毎日毎日無数に情報が発信されていて、選択する基準はありません。
ポテンシャルの差の意味
ポテンシャルの差について、もう少し説明致します。販売力が強くなって売上が拡大する事はお伝えしました。しかし、この売り上げが拡大する事はこれから説明する事に比べれば、微細な事です。コンテンツを制作する事により生み出される賜物は、もっと別なところに存在します。それをひとつひとつお伝えします。
ひとつめは、コンテンツ自体が価値を生み、そして資産化出来る事です。つまりIP資産になるのです。前に述べたように写真を情報とすると、その情報を体系的に、そして目的をもって写真を基に作られた動画には資産価値が生まれます。これが、必要という需要を満たしているならば、時代や空間を超えて求められます。求められるということは売れるという事です。大半の商品は一度販売すれば、二度売りは出来ません。食品や化粧品、電気や熱エネルギーなどの消耗品がこれにあたります。また、二度売りは出来ても価値は下がるのが、中古車や中古家電製品、衣料品などです。コンテンツは、このどちらにも当てはまりません。但し、条件があって大量に出回ったコンテンツはコモディティ化し価値が下がります。
重要なデジタル化はインターネットを土台として仕事や生活の必需品です。eコマースやネットバンキング、動画配信やマッチングなどは、とても使い慣れたサービスです。 さらに、スマホを覗くと、そこから世界の船や飛行機、さらには人工衛星までも追跡することも出来ます。このような世界にあって、デジタル化を無視した事業経営は恐竜が滅んだように事業は衰退し、いずれ消滅します。
目次:
- はじめに
- 中小企業を解決するデジタルマーケティングの現状
- コンテンツマーケティングの重要性
- コンテンツIP戦略の基礎
- コンテンツIPとは何か
- 中小企業におけるコンテンツIP構築の意義
- コンテンツIPの資産価値
- 中小企業のためのコンテンツ作成戦略
- 自社の強みを相談したコンテンツ企画
- 効率的なコンテンツ制作プロセス
- 品質と量のバランスをとる方法
- コンテンツのIP化と保護
- コンテンツを知的財産として確立する方法
- 法的保護の重要性と方法
- IP管理のベストプラクティス
- コンテンツIPの活用戦略
- マルチチャネル展開の方法
- ライセンシングビジネスの可能性
- コンテンツIPを活用した新規事業開発
- チャットボットとコンテンツIPの統合
- チャットボットの基本と導入メリット
- コンテンツIPをチャットボットに活用する方法
- カスタマーサポートの効率化と顧客体験の向上
- マーケティングオートメーションへの展望
- チャットボットを起点としたマーケティングオートメーション
- データ収集と分析の重要性
- パーソナライゼーションの実現
- 実践的なアプローチ:ステップバイステップガイド
- コンテンツIP戦略の構想
- チャットボットの導入ロードマップ
- 継続的な改善と最適化の方法
- 事例研究:成功した中小企業のコンテンツIP戦略
- 結論
- コンテンツIP戦略の未来
- 中小企業が取るべき行動