ペレットストーブと薪ストーブどちらのストーブを購入したらいいのか、客観的に分かりやすく比較してみました。比較対象のキーワードは、経済性、安全性、実用性、自然志向性の4つの単語です。

自然志向性

今回は自然志向性です。ペレットストーブと薪ストーブどちらが、より自然志向なのか?明らかにします。この話に入る前にちょっとストーブの歴史について、調べます。

ストーブの歴史

焚き火

その昔。人が狩猟を中心とする生活をしていた頃、焚き火は獣の肉を焼き、食するためには欠かすことの出来ないツールでした。また、朝晩の気温の低下、或いは冬の寒さを凌ぐためにも生命維持装置にも匹敵する重要な役割を果たしていたのです。さらに、火を囲む事で獰猛な獣の襲来を防いだり、仲間との会話や宴が絆を深め、日々の生活や労を癒やす役目もあったと考えられます。火を前にすると、飢や寒さ、防獣襲来の不安が遠のき、より仲間との絆も深まった。こういう安心・癒やしの思いが、人の遺伝子に刻まれ、何千年も経た今現在でも、火を見るとその思いが蘇って来るのではないでしょうか。

さて、狩猟時代から、時代は移り、人は農産物を栽培する技術を得ました。狩猟が中心の社会ではターゲットに応じて移動する生活だったのですが、農地を所有する事で、ひとつの土地に定着し、家を持つようになったのです。そして家の中でも狩猟時代の名残りを味わう事の出来る火を燃せる場所、ファイヤープレス(暖炉)を最初に作りました。これは、焚き火の進化形である暖炉や囲炉裏でした。この暖炉や囲炉裏が狩猟社会と同様に、暖と食と安心をもたらしたのです。

この時代の燃料は薪です。目に入る山々の樹木から切り出される木を乾燥して作った薪が燃料となり、絶やすことなく毎年例年必要な薪を確保してきたのです。

囲炉裏

ちょっとここで横道にそれますが、囲炉裏で薪を燃やすとどのようになるかご存知でしょうか? 今時、囲炉裏はめったにお目に掛からない代物です。目にする機会があるとすれば、古民家風のレストランや宿泊施設等。でも、こういったお店の囲炉裏は薪を使いません。ほとんどが炭を使うと思います。もし、薪を使ったら大変です。薪の燃えた灰が、上昇気流に乗って部屋一面に撒き散らかされます。一晩使っていたら、朝にはうっすらと雪化粧のように灰が積もります。また、薪が燃える時に排出される燃焼ガスが室内に撒き散らされるので、目がチカチカ、喉が痛むという問題も生じます。囲炉裏に薪を使うのは非現実的という話です。

さて、話を元に戻します。そこで煙突の登場になります。煙突は、11世紀または12世紀に北ヨーロッパで発明され、主に煙の問題を解決し、より確実に煙を外部に排出しました。彼らは、暖炉にドラフトを与えのです。また、暖炉を建物の複数の部屋にそれぞれ置くことを可能にしました。しかし、高価だった事もあって、一般的に使用される事はありませんでした。

薪ストーブの誕生

18世紀には、暖炉の歴史において2つの重要な発展が見られました。 一つはベンジャミンフランクリン(アメリカの国民であり、米国の創建者の一人、1706年1月17 – 1790年4月17日は)が、暖炉用の対流室を開発し、暖炉の効率を大幅に改善しました。今の薪ストーブに発展する鉄製暖炉は、1742年にアメリカで発明されたフランクリンストーブ(ペンシルバニア暖炉)です。鉄の暖炉自体は14世紀末からフランスで使用されていたのですが、それらの暖炉にはバッフル板がなく暖房効率はオープン式暖炉と変わりありませんでした。フランクリンストーブは前面以外の5面を鉄で囲ってバッフル板とそれによる逆サイフォン燃焼機構を装着したため放熱面積が多く、通常の暖炉よりは暖房効率が高かったのです。改良型のフランクリンストーブは扉がついており、扉を閉じて使用するとさらに高い暖房効率を発揮しました。彼はまた、地下から空気を引き出し、上部のより長い領域を通気することによって空気の流れを改善したのです。

ベンジャミンフランクリンは、皆が使用してもらえればという考えから特許を取らなかったのでした。このため安価な模倣品が大量に流通した結果、一般家庭にも暖炉が普及したのです。改良型フランクリンストーブは暖炉であると同時に、薪ストーブの最初の製品にも位置づけらています。

もうひとつは、18世紀後半、ドイツのランフォード伯(兵士、司祭、科学者、スポーツマン、植民地総督、17世紀のアマチュア芸術家1816年12月17日〜1682年11月29日)は、建物の煙を吸い上げて外に出す際に優れた、丈夫で浅い火室を備えた暖炉を設計しました。浅いデザインは部屋に投射される輻射熱の量も大幅に改善しました。ランフォードのデザインは、現代の暖炉の基礎です。(wikより抜粋)

こういったシステムが広がって、暖房機能が強化されたのです。さらに効率良く暖を採り薪の消費を減らすために、二次燃焼や薪ストーブメーカー独自の効率アップの仕組みが出来上がって現在の薪ストーブが完成したのです。しかし、今も薪ストーブは進化しています。

ペレットストーブの誕生

さらに、効率性と利便性、それに大量生産による事業収益を目的とするストーブが誕生しました。ペレットストーブです。ペレットストーブは、薪ストーブの欠点を補うのと同時に誰でも簡単にストーブをコントロールする事が出来ます。

19世紀初頭には、おがくずホッパーを使用した専門的な木製炉を使用していました。これらのユニットはすべて廃棄用おがくずを使用していました。 1930年に、プレストログはアイダホ州ルーイストンの木材工場から、その廃棄用のおがくずを家庭用に再利用することを発見しました。これが1980年代にワシントン州から出てきた小型ペレットストーブ開発の基となったのです。

ペレットストーブは、シンプルで箱型の頑丈なデザインから現代の暖房器具に、長年にわたり外観が変化しました。ペレットストーブは、自立型ユニット、若しくは壁に嵌めこむタイプ(インサート)のいずれかにすることができます。大部分のペレットストーブは、大型の熱伝導性の鉄鋼または鋳鉄部品を使用して構成され、回路および排気領域を囲むステンレススチールが使用されています。れらのユニットは、既存の煙突配管をわずかに変更するだけで、これまで使用した家庭暖房システムに後付けすることができます。

ストーブ産業は、効率的な可燃性および再生可能な資源に基づいて、ペレットストーブおよび暖房装置にかなりシフトしていますが、これは1973年の石油危機が最初のペレットストーブの開発を引き起こす原因となったのです。ペレットストーブは、家庭暖房システムに於いて、過去10年間実用的で経済的で一般的なストーブの選択肢となっているのです(1998年〜2010年の間に、824,410台のペレットストーブと暖炉が米国で作られました)

我が国では、石油危機以降、数社がペレットストーブやペレットの製造に乗り出しました。しかし、価格需給の不安定から石油製品の値下げと伴にその需要は萎んで姿を消して行きました。それから数十年が経過し、地球温暖化に影響を及ぼす石油由来製品の使用を疑問視する全世界的な流れの中で、北米製のペレットストーブが日本に輸入されたのです。北米製のペレットストーブはたちまち広まり、工務店やハウスメーカーも自然志向の流れを受けてペレットストーブを自社製品アイテムの一つに加えました。

国内中小工場も、将来性に期待してペレットストーブ製造に名乗りを挙げたのです。この時点で国内中小工場は、ペレットストーブというものがどういうものか理解していませんでした。従って彼らが最初に行った事は、北米製ペレットストーブを入手し、それを分解組み立てし直すという作業でした。

こうやって、2005年代に国産ペレットストーブは完成し、世に出されたのです。しかし、お手本にしたのが上記の北米ペレットストーブだった事。欧米のようなストーブ文化が日本にはなかった事。そのため、ストーブの歴史が浅くストーブパーツが国産で揃わなかった事。さらに、販売店が系統だったトレーニングを受けずに販売を行った事。こういった不備から、多くのクレームが発生したのです。このクレームには機械故障もあったのですが、中にはペレットストーブを使い慣れていないという販売店側の説明不足とユーザーの認識不足が重なったようです。

しかし輸入ペレットストーブの進化に伴い、国産ペレットストーブも少なからぬ影響を受け、今日に至っています。特に、ヨーロッパのペレットストーブは機能性はもちろんデザイン性が極めて高くなっています。以上のような経過を辿ったペレットストーブの市場は2000年代初めとは違って、落ち着いている状態です。

自然指向性

人が獣を追いかけて食する狩猟時代の焚き火から、現代の薪ストーブとペレットストーブまで、節目の部分を観てきました。狩猟時代は周りにある枯れ木や枝葉、乾燥した草などを集め、これを燃やすだけです。機械や電気は使っていません。「機械や電気を使用せず、ただ、自然の力だけを活かしたモノ」に自然志向性という定義を与えるなら、焚き火は満点、囲炉裏もそれに近い評価が点けられるでしょう

薪ストーブは機械を使っていますが、上昇気流や放熱の仕組み、さらに炉内に於ける薪の燃焼からオキに至り灰になるまでのプロセスなども自然の力をうまく活かしているので、満点ではないにしても、高い点数は得られます。また、焚き火や囲炉裏は、食に関しても、食材を台座に乗せるだけで美味しい料理が直ぐに、その場で出来るのです。
薪ストーブも、ストーブドアを開け台座を作って食材を乗せれば料理する事は可能なので、焚き火や囲炉裏に準じています。

一方、ペレットストーブは、機械や電気を使っているのに加え、自然の力を活用していないので自然志向性は、低いと評価されます。一番気になるのは停電です。自然指向性が低いので、停電やペレットの供給が停止したら、もうただの鉄の塊です。バッテリーを利用して運転出来るペレットストーブもありますが、あまり実用的ではないです。そして、料理は出来ません。パンを焼く程度のグリル機能を備えたストーブもあるようですが本格的な料理は困難でしょう。

このように、自然志向性を考えると、ストーブの進化に応じてドンドン低下しています。もちろん利便性だけを考えれば断トツに進化したペレットストーブのほうが良いのですが、パチパチと燃える薪ストーブからの音や、ゆらゆら揺れ動く炎のひかりが周りの家具に映る何ともいえない幻想的なシーンは、薪ストーブが持つ独特の世界を作リ出すので、そこに魅了される人達は捨てがたいでしょう。