ペレットストーブと薪ストーブどちらのストーブを購入したらいいのか、客観的に分かりやすく比較してみました。比較対象のキーワードは、経済性、安全性、実用性、自然志向性の4つの単語です。

今回は実用性です。ペレットストーブと薪ストーブどちらが使い安く利便性が高いのか?それを明らかにします。

ペレットストーブの実用性


単純な話、使いやすさや利便性を比べればペレットストーブが断トツの勝ちです。ペレットストーブは着火や消化に加え、火力調整や室温調整など全てボタン(タッチパネル)ひとつで操作が可能です。寒い朝、床から離れて直ぐに暖が必要なとき、或いは職場から帰宅し、寒く暗い室内で早く暖を採りたいとき、こんなシーンに置かれた状況では石油ファンヒーターのような瞬間に暖かくなる暖房機器が必要でしょう。

そのようなニーズに充分に応えてくれるのはペレットストーブです。ヨーロッパ生まれのほとんどのペレットストーブはリモコンが添付されており、リモコン操作が可能です。リモコンがあればエアコン等と同様に実用性は高まるでしょう。

さらに、全自動設定のペレットストーブであれば室温が一定温度に低下した時には自動的に着火し、設定温度まで上昇すれば、これまた自動的に消火するシステムがあります。このシステムがあればストーブ自体に触れないで室温を一定に保つ事が出来るのです。また、タイマー機能を備えたペレットストーブであれば一週間単位で着火・消化の時間を設定出来ます。

ストーブが動作するまでの流れは  1,スイッチをオンにする。2,ペレットが供給される。3,イグナイター(着火棒)に通電される。4、イグナイター周辺のペレットが高温になり着火する。

以上のようなプロセスを辿ります。これは概ねほとんどのペレットストーブが、同様のプロセスを辿ります。(一部、国産ペレットストーブには手動着火となるものもあります)この間5分〜10分程度。スイッチをオンにしてから10分程度でペレットストーブのガラスには炎が立ちあがります。

一方、ストーブをOFFにした際には、排気ファンがしばらく作動した後、停止します。排気ファンの作動している時間は概ね30分〜1時間程度です。というように、特に手を掛けないで暖を採ることが出来るのがペレットストーブの特徴です。なお室内が暖まるまでには室内温度や室内空間の広狭にも依りますが、概ね1時間程度で暖まるでしょう。


薪ストーブの実用性

 

薪ストーブは、着火や燃焼に必要な電気機器を有しておらず、あくまでも手動着火と自然の仕組みを利用しての操作になります。この為、着火は慣れないとすぐ鎮火してしまうのです。例えば貸し別荘に薪ストーブが置いてあり、そのずっしりとした重量感やアンティーク感に加え、初めて薪ストーブを目にした非日常感から興味のボルテージが上昇、早く火を付けたいという気持ちが先走って、薪にマッチで火を付けるなんて事も無きにしもあらずです。これでは着火は無理です。多分、ここまでではないにしても、似たような経験をされた方は多いのではないでしょうか。

 

薪ストーブの着火には、薪ストーブの燃焼の仕組みを理解して頂きたいのと同時に着火には順序があります。まず燃焼の仕組みですが、前で述べたように、あなたは冬にログハウスの貸し別荘に到着した宿泊客と想定して下さい。冬ですから外気温度はゼロかマイナスです。もちろん室内も寒く、暖といえば薪ストーブ位しかありません。その薪ストーブに着火するのですが、管理人から聞いていた話では、小枝や薪の切れ端などにジェル状の着火剤を塗り、そこにライターやマッチ等で火を付けて種火を作り、火を育て炎が大きく成長した頃を見計らって薪をくべていくという話でした。

早速云われた通り試します。しかし着火はするものの火は育ちません。あれよあれよと云う間に、炎はどんどん弱く低くなります。どうして、おかしい・・・・。 これは、外気温が低く、ストーブ炉内温度も外気が煙突を通じて流れ込むからです。つまり炉内が低温だからです。

ここで燃焼の仕組みをお考え下さい。火が燃えるとはどういう事なのか・・・・。薪やペレット等の木質バイオマスは、熱せられて燃焼ガスが発生します。この燃焼ガスに引火するのが燃えるという事です。この温度が概ね600°Cです。この温度に達するためには、炉内温度を少しづつ上げていく事が大切です。

話は飛びますが、少々お付き合い下さい。流れのある川に水車小屋を作り、川の流れを水車で確保して回転エネルギーを確保しようと考えたとします。川の流れが止まったら水車が回らず、回転エネルギーは得られません。川の流れが早ければ、水車はどんどん回り大きなエネルギーが得られます。

薪ストーブの燃焼もちょっと似ています。川の流れを空気の流れに置き換えて下さい。水車小屋を薪ストーブ、水車小屋の下流側を給気、上流側を排気と考えます。水車を早く回転させて大きなエネルギーを得るためには、川の流れを早くすればいいという話でした。川の流れを早くするのは、急傾斜底の川に水車小屋を設ければ流速が高くなって大きなエネルギーが確保出来ます。燃焼に置き換えた場合、流速を高めるためには煙突の高さが関係するのです。水車の上流側がその煙突なのです。そして下流側が給気(つまり空気を供給すること)です。この一連の流れを上昇気流、或いはドラフトと云って、薪ストーブが燃えるためにとても重要な事なのです。

薪が燃えるのは、薪が燃えて炉内温度が高まると同時に上昇気流が発生するからです。この上昇気流は炉内を通る給気口から空気をひっぱり、さらに空気が炉内に供給されて薪が燃えるという好循環を作り出します。水車で例えれば、上流側に滝があったり、川の傾斜が大きいので流速は高くなり、水車の回転を早めます。

薪ストーブも同じです。炉内温度が低いので着火しても火が育たないという話をしましたが、水車小屋に例えれば、川の水が流れていない状態です。これでは水車は回りません。水車を回すには水が必要なのです。最初に少しの水を流してあげれば水車は回ります。薪ストーブも同じです。上昇気流を発生させるためには炉内温度を高める必要があるのです。炉内を暖めて下さい。新聞紙や割り箸、乾燥した小枝を燃して最初暖めるのです。冒頭の例は、小枝などの燃焼物が少ないうえ湿り気があるのです。もっともっと量を多く、そして乾燥している枝が必要なのです。このような方法で着火すると、炎は育つと同時に上昇気流が発生します。さらに空気を引っ張るのでボウボウと音を立てて燃えたら、今度は薪を焚べれます。薪に火が移ったらもう大丈夫でしょう。放っておいても、どんどん燃えて行きます。

このように、薪ストーブは炉内温度が低かったり、燃やす枝や薪が濡れていたり、或いは乾燥状態が良くなかったりするとうまく燃えません。ペレットストーブと比べると実用的ではないのかもしれません。しかし、自然志向派からすれば、不便でも自然を感じ、薪が燃える匂いに、なんとも言えない懐かしさを感じたりするので、この辺りに愛着を感じるのが薪ストーブ派なのでしょう。